さぽろぐ

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2017年01月25日

北海道新聞1月25日朝刊「朝の食卓」



すべすべ - さとう努
   ◇
 昨秋、岐阜県奥飛騨の温泉を訪ねた。妻の実家が飛騨高山にある関係で、20年くらい前に一度だけ行ったことがある。名古屋でレンタカーを借り、湯めぐりしながら平湯温泉に1泊。翌日は奥飛騨から新穂高の温泉をめぐり、再び平湯温泉から高山に抜け、名古屋に戻ってくるという計画を立てた。
 名古屋から高山に向かう途中、日本三名泉の一つである下呂温泉にも久しぶりに立ち寄った。何湯かめぐったあと、温泉街を見下ろす高台にある老舗旅館に立ち寄った。入浴はもちろんだが、国の登録有形文化財にも指定されている1931年(昭和6年)創業の木造3階建ての立派な建物を、一度見てみたいと思っていたのだ。
 温泉街から細く曲がりくねった道を登り、駐車場に車を止めて玄関まで歩くと、係の方が恐縮そうに「日帰り入浴の受け付けは13時30分まででして…」 と話しかけてきた。時計を見ると13時40分。この旅館の日帰り入浴は13時から14時までのわずか1時間だけと、ハードルが高いのは知っていたが、受付終了時間までは調べていなかった。うかつだった。
 諦めて帰ろうとすると、係の方から「でも14時までにお上がりいただければ…」と。20分あれば私には十分。お言葉に甘えてお湯を頂戴した。フロントの方は日帰り利用の私にも、宿泊客と変わりなく笑顔で案内してくださった。「美人の湯」の誉れ高き下呂の湯で肌はすべすべに。宿の方のさりげない対応に、心もすべすべになった気がした。(温泉ソムリエ・ニセコ)  

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2016年12月02日

北海道新聞12月2日朝刊「朝の食卓」

完全燃焼の濁川 - さとう努
   ◇
 本業が落ち着く時期に合わせるかのように、温泉関係でさまざまな依頼をいただくようになり、ありがたく思う今日このごろ。最近では渡島管内森町からの依頼で開催した、濁川温泉での温泉ソムリエ認定セミナーが強く印象に残っている。6月に個人で認定セミナーが開催できる温泉ソムリエの「師範」に認定され、その直後に依頼をいただいていたものだ。
 濁川は私も過去に何度か湯めぐりで訪れている場所。アブラ臭が特徴の好きな温泉地の一つ。その濁川の魅力をもっと伝えたいということで、主催者側もセミナーの告知を強力に推し進めてくださった。そして11月12日、「師範」として初めてのセミナーに臨んだ。
 当日は森町や函館からの参加が多い中、遠く青森から受講しに来た方もいた。4時間に及ぶセミナーは、受講者の方々の反応がよく、緊張というよりは、むしろこちらが楽しませてもらった感すらあった。この日、20人の新しい温泉ソムリエが誕生した。素晴らしい経験をさせてくださった森町の方々やスタッフには、感謝しきりである。
 セミナーの翌日は、町で用意してくれた車で濁川観光。高台からの濁川の眺めや地熱発電所に感動し、ランチはご当地グルメの「森らいす」をいただいた。惜しむらくはこの日、湯めぐりができなかったことか。初のセミナーで燃え尽き、達成感からか、晩の懇親会はいつもより酔いがまわったこともあり、しばらく休憩室で横になっていたのは、ここだけの話…。(温泉ソムリエ・ニセコ)  

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2016年10月26日

北海道新聞10月26日朝刊「朝の食卓」



かかってますよ - さとう努
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 北海道は温泉地の数では日本一。しかし湧出量や源泉の数では大分県には及ばない。しかも別府だけで日本の約1割もの源泉が集まっているそうだから、まさに温泉のワンダーランド。
 その別府には、88の温泉施設をめぐってスタンプを集めると「名人」の称号が与えられる「別府八湯温泉道」というのがある。御遍路ならぬ湯遍路だ。88とは気の遠くなる数字だが、温泉が密集するエリアの特徴から、短時間でも数はこなせるので、週末に関東や関西などから通い、「名人」を目指す人も少なくない。この取り組みの中に、北海道でも生かせるヒントがないものか。そんな思いを抱きつつ、6月に別府を訪れた。
 温泉道の湯めぐり中に、とある共同湯に入った時のこと。フロントの女性に入浴料を支払い、奥にある台でスタンプ帳にスタンプを押そうとしていたところ、背中越しに、私の次にやってきた地元のおじいさんの声が聞こえた。いきなり何やら困っている様子。フロントの女性が親しげな様子で「どうかされました?」 と尋ねると、おじいさんは「タオルを忘れたんじゃ!」と答えた。すると間を置かずに女性がこう言った。「かかってますよ」と。
 振り向くとそこには、首にかかったタオルの端をしっかりと両手で握りしめ、すでに風呂上がりかのような真っ赤な顔ではにかむおじいさんの姿があった。今にも笑ってしまいそうな光景だったが、そのやりとりがほほ笑ましく、身近に共同湯があることをうらやましく思った。
 今日は26日、風呂の日だ。温泉に行ってほっこりしよう。(温泉ソムリエ・ニセコ)  

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2016年09月19日

北海道新聞9月19日朝刊「朝の食卓

熱視線 - さとう努
   ◇
 温泉ソムリエの認定セミナーで初めて講師をしたのが、2年前の4月に行われたニセコでのセミナー。その後も講師ができる機会を探していた私は、その3カ月後の7月、神戸のセミナーで話す機会をいただくことになった。せっかく関西まで行くのだからと、セミナーの前後に和歌山と兵庫の湯めぐりを予定に組んだ。
 日本三大美人の湯の「龍神温泉」。世界遺産の「湯の峰温泉」。日本三古湯の「白浜温泉」に「有馬温泉」と、連日の湯めぐり。セミナー前日の大阪のホテルも、翌日泊まった神戸のホテルも温泉。結局、この旅で15湯ほどをめぐり、温泉ネタもたっぷり仕入れた。
 セミナー当日、会場へ向かおうと地下鉄の駅へ行くと、今まさに電車が発車するところ。少々慌てて飛び乗る形になった。車両は空いていてゆったりと座れた。神戸は美人が多いのだなと乗客を見て感じたが、同時に女性たちからの熱い視線も感じていた。理由は降りるときに気がついた。そこは「女性専用車両」だったのだ。
 女性たちにはなんとも間抜けな旅行者と目に映ったことだろう。通常なら赤面する場面だが、恥ずかしい思いよりも先に、「この旅で一番のネタだ!」と思えてしまう、前向きな自分の性格に驚くばかり。もっとも30分も痛い視線を感じているのに、最後まで気づかずに座っていた自分にも驚きですが。(温泉ソムリエ・ニセコ)  

Posted by トム at 07:00Comments(0)掲載・出演等